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住宅ローン審査 「甘い」「緩い」は存在するか① 借入限度額が大きいローン

お金と計算機

審査が甘い。審査が緩い。

そんな観点で住宅ローンをお探しの方もいらっしゃるでしょう。

「そもそも融資の承認が降りるか」

「希望の全額が借りられるか」

そう考えると夜も眠れない。

そんな気持ちでネットを検索したあなたのために、住宅ローンの審査について説明します。

第一回は、「借入限度額の算出」です。

 

まず初めにお断りしておきますが、「審査が甘い」「審査が緩い」住宅ローンなんてものは、残念ながら存在しません。

土地・建物を担保に取るとはいえ、高額かつ長期間の融資をするわけですから、金融機関が定める一定の基準を満たしていない方には貸してくれません。

ですが、審査の「どの部分に」不安を抱えているかによって、「その部分のハードルが低い金融機関を選ぶ」という対策を講じることができます。

まずは住宅ローンの審査の内容を知っておきましょう。

 

住宅ローンの審査は、大きく次の3項目に分かれます。

  1. 借りる方の返済能力
  2. 借りる方の健康状態
  3. 購入する物件の評価

今回の内容は1.に関するもの。

中でも融資の可否を大きく左右する「借入限度額の計算」です。

 

借りる方の返済能力

借りる方の勤務先や年収、勤続年数などから、「いくらまでなら貸せるか」を決めるのがこれ。

令和2年3月に国土交通省がまとめた「令和元年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によると、融資を行う際の審査項目として95.7%(有効回答数1,210)の金融機関が「年収」を上げています。

審査においてはそれだけ重視される年収。

実は年収に対する借入限度額には、一定の算出方法があります。

これに関しては、いずれの金融機関でもほぼ同様の方式を用いますので、知っておいて損はないでしょう。

 

① 前年の税込年収(源泉徴収票に記載された総額)を確認します。

 

② この金額に、「ローンに当ててよい」とされる割合(返済比率といいます)を掛けてローンに当てられる金額を算出します。

返済比率は銀行によっても年収によっても異なりますが、30~35%が一般的な水準です。

例えば税込み年収が500万円のAさんが住宅ローンを借りるとします。

返済比率を35%として借入限度額を算出する銀行だったとしたら、年間の返済上限は175万円

1月当たり14万5,000円です。

 

③ ②で算出した金額から、車のローンクレジットカードの分割払いなど、住宅ローン以外の月々のお支払い(借り入れに関するもの)額を引き算します。

Aさんが車のローンに月々2万円払っていたとしたら、これを引いた額が住宅ローンに当てられる金額。

14万5,000円 - 2万円 = 12万5,000円

住宅ローンに当てられるのは1カ月12万5,000円です。

 

④ 1カ月当たりの支払い可能額が出たら、これを借入期間に当てはめれば支払い可能額が算出できることになりますが、ここで出てくるのが金利です。

もちろん住宅ローンは金利を上乗せして支払うわけですが、借入限度額の算出で使う金利は実際の金利とイコールではありません。

その名も審査金利

「融資の時は0.625%で貸しますが、審査の時には3%の利息で計算しますよ」

みたいな仕組みです。

 

この審査金利、3%だとか3.5%だとか、はたまた「10年固定の金利を適用」だとか金融機関によって設定がまちまち。

この審査金利の差によって、借入可能額に大きなが出ることを覚えておきましょう。

金融電卓があればサラっと計算できますが、ここではある程度の目安として金利に応じた100万円当たりの返済額を例示します。

審査金利 4.0% 4,427円

審査金利 3.5% 4,132円

審査金利 3.0% 3,848円

審査金利 2.0% 3,312円

審査金利 1.5% 3,061円

審査金利別 100万円当たりの返済額

審査金利別 100万円当たりの返済額

上記の表を見ると、金利によって同じ100万円でも月々の返済額に大きな差が出るのが分かります。

これを先程のAさんに当てはめて考えます。

月々の支払い可能額が12万5,000円。

これを100万円当たりの返済額で割ります。

すると、借入可能な限度額が分かります。

 

審査金利 4.0%の場合 12万5,000円 ÷ 4,427円 = 28.23

           28.23 × 100万円 = 2,823万円

 

審査金利 3.5%の場合 12万5,000円 ÷ 4,132円 = 30.25

           30.25 × 100万円 = 3,025万円

 

審査金利 3.0%の場合 12万5,000円 ÷ 3,848円 = 32.48

           32.48 × 100万円 = 3,248万円

 

 

審査金利 2.0%の場合 12万5,000円 ÷ 3,312円 = 37.74

           37.74 × 100万円 = 3,774万円

  

審査金利 1.5%の場合 12万5,000円 ÷ 3,061円 = 40.83

           40.83 × 100万円 = 4,083万円

 

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借入限度額

上記のように、Aさんという同一人物の審査においても、審査金利に違いによって最大で4,000万円最小で2,800万円という大きな開きが出ることがお分かりいただけたでしょう。

 

 これだけをもって「審査が甘い」「審査が緩い」と判断することはできませんが、少なくとも「年収に対して借り入れ額が大きくなりそう」という不安を抱えている方にとっては、審査金利が低い金融機関を選ぶというのが一つの解決策となり得ます。

 

この算出方式を採用している金融機関は非常に多いです。

「年収に対する借入額が大きい」とお考えの場合は、「返済比率が大きく、審査金利が低い」という点がポイントとなります。

 

この観点で考えると、有力候補となりうるのがフラット35

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フラット35の返済比率は年収400万円以上の方で35%、400万未満の方で30%。

審査金利は実行金利とイコールですから。9割までの融資なら1.32%で計算してくれます。

先ほどのAさんの例で、審査金利1.32%で計算してみると・・・。

借入可能額の上限は4,202万4,735円まで伸びる計算になります。

審査金利4.0%の場合(2,823万円)と比較すると、その差はなんと1,400万円近く。

審査金利によるハードルの高低差が顕著に現れます。

つまり、「ご年収に対して借入額を伸ばしたい!」という観点で「甘い」「緩い」を考えるならば、フラット35は有力な候補となり得ます。

 

でもね、このフラット35。

3.購入する物件の評価という面では、どちらかというとハードルが高い部類。

総合的に見て、「審査が甘い」「審査が緩い」というわけではありません。

 

このように、審査の「どの部分に」不安を抱えているかをしっかりと把握したうえで、「その部分のハードルが低い金融機関を選ぶ」という対策を講じること。

これが住宅ローンの審査対策には最も重要なポイントです。

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